臨床指標(クリニカルインディケーター)
臨床指標(クリニカルインディケーター)とは、医療の質を定量的に評価する指標のことで、医療の過程や結果から課題や改善点を見つけ出し、医療の質の向上を目的とするものです。これにより医療の質を客観的に評価することが可能となるので、最近は質(評価)指標という用語もよく使われています。
医療の質は、1.構造(ストラクチャー Structure) 2.過程(プロセス Process) 3.結果(アウトカム Outcome)の3つの側面について評価されることが一般的です。
当院が測定している指標をホームページに公表し、最適の医療を提供できる病院となるため、改善を図り医療の質の向上に努めていきたいと考えております。
1.病院概要・患者属性
病院基本データ
2024 年度 | |||
診療科数 | 37 | ||
病床数 | 504 | ||
一般病床 | 490 | ||
救命救急センターハイケアユニット(HCU) | 6 | ||
集中治療管理室(ICU) | 12 | ||
新生児集中治療管理室(NICU) | 12 | ||
小児入院医療管理料病床 | 23 | ||
無菌治療室 | 8 | ||
感染症病床 | 14 |
専門・認定看護師
2024 年度 | |
認定看護管理者 | 0 |
がん看護専門看護師 | 2 |
急性・重症患者看護専門看護師 | 1 |
皮膚・排泄ケア認定看護師 | 1 |
がん性疼痛看護認定看護師 | 1 |
がん化学療法看護認定看護師 | 1 |
集中ケア認定看護師 | 2 |
新生児集中ケア認定看護師 | 1 |
緩和ケア認定看護師 | 1 |
感染管理認定看護師 | 3 |
救急看護認定看護師 | 1 |
認知症看護認定看護師 | 1 |
がん放射線療法認定看護師 | 1 |
病院情報
2024 年度 | |
1日平均入院患者数(人) | 430.4 |
平均在院日数(日) | 14.0 |
一般病床利用率(%) | 88.7 |
1日平均外来患者数(人) | 841.1 |
1日平均救急患者数(人) | 28.4 |
手術件数(件) | 5,106 |
ボランティア登録人数(人) | 4 |
クリニカルパス使用患者数(人) | 4,957 |
外来化学療法件数(件) | 4,683 |
敷地内禁煙実施 | あり |
インターネット接続環境(患者さん用) | あり ※レモングラス (第1・3火曜日) 11:00~13:00 |
地域連携
2024年度 | |
紹介率(%) | 89.5 |
逆紹介率(%) | 117.8 |
登録医数(人) | 187 |
医療相談
2024 年度 | |
医療・福祉相談件数(件) | 20,763 |
がん相談件数(件) | 1,397 |
セカンド・オピニオン件数(件) | 4 |
チーム医療
2024 年度 | |
感染対策チーム | あり |
栄養サポートチーム | あり |
緩和ケアチーム | あり |
褥瘡ケアチーム | あり |
呼吸療法サポートチーム | あり |
認知症ケアサポートチーム | あり |
精神科リエゾンチーム | なし |
2.医療の質に関する指標
患者満足度
2024 年度 | 参考値 ※1 | |
外来患者満足度 | 78.6 点 | 80.0 点 |
入院患者満足度 | 87.0 点 | 85.5 点 |
計算方法
2024 年 10 月 17 日~2024 年 12 月 12 日外来患者(回答者数 388 人)、2024 年 10 月 17 日~2024 年 12 月 12 日入院患者(回答者数 378 人)に対して、性別、年齢、当院の選択理由、総合評点、個別項目の満足度を調査した。非常に満足を 100 点、満足を 75 点、どちらとも言えない 50 点、やや不満 25 点、不満0点として平均評価点を算出しました。
結果・考察
外来、入院部門ともに、紹介・推薦意向、接遇面や診察・診療面に対する満足度が調査病院平均よりも高くなっています。
接遇面では、スタッフの言葉遣いや態度など、患者さんとのコミュニケーションに関する項目において、良好な評価が確認できました。
診療面では、医師・看護師による説明の分かりやすさや相談のしやすさなど、医療提供に関する項目で高い満足度を得ています。
今後も継続して高い評価を受けられるよう、患者サービスの充実に取り組んでまいります。
3.病院全体に関するプロセス指標
肺血栓塞栓症の予防対策実施率
2024 年度 | 参考値 ※3 | |
2024 年 4 ~ 6 月 | 97.2 % | 91.7 % |
2024 年 7 ~ 9 月 | 93.6 % | 92.7 % |
2024 年 10~12月 | 94.2 % | 93.2 % |
2025 年 1 ~ 3 月 | 94.6 % | 92.7 % |
計算方法
分子: 分母のうち、抗凝固療法または肺血栓予防管理が実施された件数
|
分母: 中リスク以上の手術件数
|
結果・考察
参考値をやや上回っています。今後もさらなる努力をしてまいります。
手術開始1時間以内の予防的抗菌薬投与率
2024 年度 | 参考値 ※3 | |
手術開始1時間以内の予防的抗菌薬投与率 | 91.2 % | 85.1 % |
◎ 参考値は特定の手術に関する投与率 |
計算方法
分子: 手術開始前1時間以内に予防的抗菌薬が投与開始された患者数
|
分母: 手術室にて手術が施行された患者数
|
結果・考察
手術開始前に抗菌薬が投与されなかった症例は、抗菌薬に対するアレルギーなど稀な症例が存在しました。また、声帯ポリープ切除のように全身麻酔は必要ですが、抗菌薬を使う必要がない例も含まれており、投与しない例も適切に対処されていました。手術に関連した感染症の発生について今後も検証していきます。
精神科病院入院からの身体疾患受入れ頻度
2024 年度 | 参考値 ※3 | |
2024 年 4 ~ 6 月 | 1.0 | 1.1 |
2024 年 7 ~ 9 月 | 1.4 | 1.3 |
2024 年 10~12月 | 2.8 | 1.4 |
2025 年 1 ~ 3 月 | 4.4 | 1.1 |
計算方法
分子: 精神科入院からの身体疾患受入れ患者数
|
分母: 病床100床あたり
|
結果・考察
精神科疾患患者の身体的入院受入れについては、参考値を下回る期間もあるため、今後も、引き続き協力してまいります。
地域医療機関サポート率
2024 年度 | 参考値 ※3 | |
2024 年 4 ~ 6 月 | 65.1 % | 59.4 % |
2024 年 7 ~ 9 月 | 63.6 % | 59.4 % |
2024 年 10~12月 | 63.8 % | 59.4 % |
2025 年 1 ~ 3 月 | 66.2 % | 58.7 % |
計算方法
分子: 二次医療圏内で紹介を受けた医科医療機関数
|
分母: 二次医療圏内医科医療機関数
|
結果・考察
参考値を上回っています。引き続き地域連携室として、地域医療機関への働きかけを行い、サポート率の向上に努めてまいります。
地域分娩貢献率
2024 年度 | 参考値 ※3 | |
2024 年 4 ~ 6 月 | 30.5 % | 27.9 % |
2024 年 7 ~ 9 月 | 29.9 % | 25.0 % |
2024 年 10~12月 | 27.3 % | 26.2 % |
2025 年 1 ~ 3 月 | 27.1 % | 24.7 % |
計算方法
分子: 院内出生数
|
分母: 二次医療圏出生数
(住民登録がなされているうち生年月日が調査期間のもの) |
結果・考察
全ての期間で参考値を上回っています。総合周産期母子医療センターでは、域外からの出産も受けており二次医療圏内にも引き続き貢献していきます。
地域救急貢献率
2024 年度 | 参考値 ※3 | |
2024 年 4 ~ 6 月 | 22.9 % | 26.9 % |
2024 年 7 ~ 9 月 | 21.4 % | 26.7 % |
2024 年 10~12月 | 22.5 % | 26.9 % |
2025 年 1 ~ 3 月 | 23.7 % | 26.8 % |
計算方法
分子: 救急車来院患者数
|
分母: 二次医療圏内救急車搬送人数
|
結果・考察
参考値に比べ低いですが、全ての期間で昨年度の数値を上回りました。ホットラインの応需率は 90 %を超えています。
クリニカルパス使用率(患者数)
2024 年度 | 参考値 ※3 | |
2024 年 4 ~ 6 月 | 43.5 % | 47.1 % |
2024 年 7 ~ 9 月 | 45.2 % | 47.2 % |
2024 年 10~12月 | 42.8 % | 46.8 % |
2025 年 1 ~ 3 月 | 42.3 % | 47.2 % |
計算方法
分子: パス新規適用患者数
|
分母: 新入院患者数
|
結果・考察
新規パスの作成を促進しています。今後は、既存パスの使用促進により適用率の向上を目指します。
脳卒中連携パス使用率
2024 年度 | 参考値 ※3 | |
2024 年 4 ~ 6 月 | 33.3 % | 14.3 % |
2024 年 7 ~ 9 月 | 48.3 % | 13.8 % |
2024 年 10~12月 | 45.2 % | 13.6 % |
2025 年 1 ~ 3 月 | 58.2 % | 13.7 % |
計算方法
分子: 急性脳梗塞生存退院患者のうち、
脳卒中パスで地域連携診療計画加算を算定した患者数 |
分母: 急性脳梗塞患者の生存退院患者数
|
結果・考察
脳卒中連携パスの使用は、二次医療圏を超えて運用が行えるようになり、大幅に改善しました。今後もさらなる連携に努めてまいります。
大腿骨地域連携パス使用率
2024 年度 | 参考値 ※3 | |
2024 年 4 ~ 6 月 | 40.0 % | 21.9 % |
2024 年 7 ~ 9 月 | 42.9 % | 22.3 % |
2024 年 10~12月 | 44.4 % | 22.9 % |
2025 年 1 ~ 3 月 | 37.5 % | 22.3 % |
計算方法
分子: 退院症例数のうち、
「地域連携診療計画加算」が算定された症例数 |
分母: 医療資源を最も投入した傷病名が大腿骨頸部骨折
(大腿骨頸部骨折骨接合術、大腿骨頸部骨折人工骨頭置換術等を実施している場合に限る) に該当する退院症例数 |
結果・考察
大腿骨地域連携については、件数が少なく、ばらつきがありますが、連携を密に取って、100 %を目指します。
4.病院全体に関するアウトカム指標
感染症発生頻度
発生頻度(%) | 2023 年度 | 参考値 ※2 |
乳房切除術後 | 0.0 % | 1.4 % |
人工膝関節術後 | 0.4 % | 0.7 % |
人工股関節術後 | 0.3 % | 0.6 % |
ICU 人工呼吸器関連肺炎 | 0.0 % | 1.4 % |
ICU 尿路感染 | 0.0 % | 0.7 % |
ICU カテーテル関連血流感染 | 0.0 % | 0.7 % |
NICU 感染症発生患児 | 0.0 % | 2.7 % |
◎ 毎年10月に公表される厚生労働省のデータを使用。 |
計算方法
分子: 分母の集団に対する感染した患者数
|
分母: それぞれの入院患者総数
|
結果・考察
ICU カテーテル関連に感染が認められた。人工膝関節は同日に両側手術を行っており、手術件数は全国平均の5倍である。予防的抗菌薬の投与方法を検討するなど、更なる対策を行っていく。
在宅復帰率
2024 年度 | 参考値 ※3 | |
2024 年 4 ~ 6 月 | 88.4 % | 87.6 % |
2024 年 7 ~ 9 月 | 89.7 % | 88.9 % |
2024 年 10~12月 | 89.7 % | 88.7 % |
2025 年 1 ~ 3 月 | 88.2 % | 88.4 % |
計算方法
分子: 退院先が自宅等の患者数
|
分母: 退院患者数
|
結果・考察
当院では脳卒中などの回復期リハビリを要する患者が多い傾向にあります。今後も在宅復帰率向上に向けて努力してまいります。
転倒・転落レベル2以上発生率
2024 年度 | 参考値 ※3 | |
2024 年 4 ~ 6 月 | 0.00008 | 0.01166 |
2024 年 7 ~ 9 月 | 0.00026 | 0.00116 |
2024 年 10~12月 | 0.00023 | 0.00103 |
2025 年 1 ~ 3 月 | 0.00015 | 0.00111 |
計算方法
分子: 入院患者転倒・転落レベル2以上該当件数
|
分母: 入院延べ日数
|
結果・考察
転倒転落をゼロにすることは難しいですが、参考値を大幅に下回っています。今後、さらに努力してまいります。
褥瘡推定発生率
2024 年度 | 参考値 ※3 | |
2024 年 4 ~ 6 月 | 0.008 | 0.020 |
2024 年 7 ~ 9 月 | 0.002 | 0.017 |
2024 年 10~12月 | 0.012 | 0.020 |
2025 年 1 ~ 3 月 | 0.011 | 0.023 |
計算方法
分子: 入院時に褥瘡なく調査日に褥瘡を朋友する患者数
+ 入院時に褥瘡あり、他部位に新規発生の患者数 |
分母: 調査日の在院数【入院当日は除外】
|
結果・考察
褥瘡をゼロにすることは難しいですが、参考値を下回っています。看護の質の向上により、低頻度に抑えることが可能なため、今後、さらに努力してまいります。
糖尿病入院栄養指導実施率
2024 年度 | 参考値 ※3 | |
2024 年 4 ~ 6 月 | 89.5 % | 71.2 % |
2024 年 7 ~ 9 月 | 75.0 % | 72.3 % |
2024 年 10~12月 | 100.0 % | 72.7 % |
2025 年 1 ~ 3 月 | 75.0 % | 70.2 % |
計算方法
分子: 2型糖尿病(ケトアシドーシスを除く)退院患者のうち、
栄養指導が実施された患者数 |
分母: 2型糖尿病(ケトアシドーシスを除く)の退院患者数
|
結果・考察
当院で継続診療する症例は難治例が多い傾向にあります。教育入院、管理栄養士の指導などさらに充実していきます。
職員インフルエンザワクチン接種率
2024 年度 | 参考値 | |
職員インフルエンザワクチン接種率 | 79.8 % | — |
計算方法
分子: 職員(嘱託・アルバイトを含む)インフルエンザワクチン接種人数
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分母: 職員数(嘱託・アルバイトを含む)
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結果・考察
職員がインフルエンザに感染すると医療業務に支障を来します。アレルギー等で接種出来ない職員もいますが、感染対策に留意してワクチン接種を励行しています。
脳梗塞入院1週間以内のリハビリ強度
2024 年度 | 参考値 ※3 | |
2024 年 4 ~ 6 月 | 20.7 | 12.8 |
2024 年 7 ~ 9 月 | 19.3 | 13.5 |
2024 年 10~12月 | 21.8 | 13.3 |
2025 年 1 ~ 3 月 | 18.6 | 11.2 |
計算方法
分子: 分母の患者の入院7日目までのリハビリテーション施行単位合計
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分母: 一週間以上入院した急性期脳梗塞症例数
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結果・考察
全ての期間で参考値を上回っています。急性脳梗塞患者に対する早期リハビリの導入は、その後の機能改善に繋がる可能性があります。さらなるリハビリの早期開始に向けて努力してまいります。
参考値は下記を参考にしています。
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※1 |
株式会社サーベイリサーチセンターによる 2024 年度患者満足度調査の結果
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※2 |
厚生労働省 院内感染対策サーベイランス 2023 年報告の手術部位感染部門
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※3 |
公益社団法人全国自治体病院協議会 医療の質の評価・公表等推進事業(2024 年度)の臨床評価指標
参加全病院の平均値 (外部リンク) |