臨床研究センター

研究実績

糖尿病治療に関連した重症低血糖の調査研究

1 はじめに

あなたは糖尿病と診断されています。糖尿病は血糖値が高くなり、全身の合併症をひきおこす病気です。糖尿病の合併症の進行を防ぐためには、できるだけ良好な血糖コントロールが必要です。薬物治療の進歩によって、その目標は徐々に達成されつつあります。しかしながら、その一方で、薬物治療に関連した低血糖のリスクが高まることも心配されます。低血糖の中でも、意識レベルの低下を伴う重症低血糖や自覚症状の乏しい無自覚低血糖は、患者さん自らや他の人を巻き込む事故などの誘因となる可能性があり、できるだけ避けたい状態です。

2 調査研究の目的と意義

本調査研究では、わが国の糖尿病患者さんの、どの程度の方が低血糖、とりわけ重症あるいは無自覚の低血糖を経験されているのかを、その頻度・重症度と治療内容などの患者背景との関連性について調査し、その成果を糖尿病の薬物治療ガイドラインの確立やよりきめの細かい
患者指導の充実に向けた基礎データとして役立てようとするものであります。

3 対象者

全国の日本糖尿病学会認定教育施設の外来に通院中あるいは入院中の糖尿病患者さんで、2014 年 4 月 1 日~2015 年 3 月 31 日の期間に重症低血糖を起こした方を対象としております。この調査研究をホームページ上に掲載することにより、直接の説明や同意をいただく手続き
に代えさせていただきますので、対象者に含まれていると考えられ、本調査に同意いただけない方は、担当医師までご連絡ください。

4 調査研究デザイン

調査研究への参加に同意いただいた患者さんの下記の診療内容を、データ収集システムを用いて、担当医にお答えいただきます。入力データは日本糖尿病学会『糖尿病治療に関連した重症低血糖の調査委員会』で直接回収し、わが国の糖尿病患者さんの実臨床下における低血糖の実態を、治療内容をはじめとする患者背景との関連性について分析します。

(1) 主要調査項目
・対象の患者さんにおける、低血糖の頻度と重症度
(2) 副次調査項目
・対象の患者さんにおける年齢、性別、病型、罹病期間、薬物治療の内容、血糖コントロール状況、腎障害の程度、低血糖の重症度と対応・処置、低血糖による二次的事故リスクの評価、低血糖に関連すると考えられる交通事故の可能性

5 この調査研究に参加することの利益・不利益

この調査研究は、あなたとあなたのように重症低血糖を起こした多くの方々の診療情報を集めて解析させていただき、わが国の糖尿病患者さんの治療内容の改善に役立てるために行います。したがって、参加することにより、あなたにとって直ちに直接的な利益はありませんが、明らかな不利益もありません。本研究のアンケートに関する個人情報は完全に匿名化されて登録・保存されます。また、本研究への不参加の意思表示をされたり、同意を撤回されたとしましても、あなたが診療上の不利益を被ることのないように、配慮致します。

6 個人情報を保護する方法

本研究で得られた資料はすべて匿名化することとし、研究実施計画書に記載した以外の目的には使用しません。個人情報を含む資料は鍵のかかる保管庫で 5 年間管理します。試験終了し保管期間終了後、個人の同定につながる資料はすべて破棄します。本調査研究の結果を、論文・学会等を通じて公表する場合には、個々の症例のデータとしてではなく、複数の症例のデータの統計学的処理を行った形で公表し、個人を特定することのできる情報は含みません。

7 調査研究の資金源について

この調査研究は、日本糖尿病学会の補助金により行われます。

8 担当医への連絡

今回の調査研究について、心配なことや判らないことがありましたら、いつでもご遠慮なく、それぞれの日本糖尿病学会認定教育施設の担当医師にお申し出ください。

9 調査研究責任者

日本糖尿病学会『糖尿病治療に関連した重症低血糖の調査委員会』
委員長 難波 光義(兵庫医科大学 病院長)
【担当医師連絡先】
山口県立総合医療センター
内科 主任部長 井上 康
TEL:0835-22-4411(代表)