へき地医療支援部(へき地医療支援センター)

山口県立総合医療センターでは、平成 3 年に「地域医療部」を設置し、平成 23 年から名称を「へき地医療支援部」に変更、平成 25 年からは院内組織である「へき地医療支援センター」として、へき地医療支援の充実を図っています。県全体で高齢化・人口減少の進む山口県では、「へき地」の状況はより深刻です。法律で定められる「へき地」は、面積にして県土の 60 %を占め、約 20 万人の方が暮らしています。本州最多の 21 の有人離島や中山間地域を含むその多くは、すでに高齢化率が 50 %を越え、その高齢者の生活を支える若い世代も減り、十分な医療・保健・福祉が届いているとは言い難い状況です。

我々「へき地医療支援センター」のミッションは、「山口県のへき地に医療と安心を届け、地域社会を守ること」であり、下記の3つを軸として取り組んでいます。

へき地医療支援センターの3つの軸

① 医療支援

常勤医が確保できない離島や山間部に赴き、現地公民館などで定期的に診療する『巡回診療』、へき地診療所の医師の研修や病休などの際に、同医師の代わりに診療を行う『代診』を行っています。近隣のへき地医療拠点病院で対応困難な代診要請にも、県へき地医療支援機構の調整のもと、必要に応じて全県的に対応し、へき地医療の継続性を担保しています。

また、平成 25 年度から、医師が不足する萩市・長門市の休日夜間急患センターの支援をスタートしました。乳幼児から高齢者まで内科・外科問わず一次救急に対応し、同地域の救急体制の一助となっています。

平成 26 年からは、県内のへき地診療所で発生した急患で、入院の受け入れが近隣の医療機関で困難な場合に、へき地医療支援センターで一時的に受け入れる、「へき地医療支援ベッド機能」の運用を開始しました。

遠隔テレビ会議システムでミーティングをする へき地医療の医師たち

② 仕組みづくり

へき地を抱える自治体、へき地医療機関、そして地域住民の声を聞き、へき地医療をチームで支える仕組みを目指しています。現地ヒアリングを繰り返したり、最近では、ITを利用した遠隔地で閲覧可能な電子カルテを、離島診療所へ導入するサポートを行ったりしました。

③ 次世代の育成

毎年、山口大学医学部と連携して医学生・看護学生対象の「地域医療セミナー」を主催し、県内の様々なへき地で地域医療の課題や魅力を伝えています。また、当院の初期臨床研修医対象の「地域医療研修(必修)」の指導・調整も担当しています。加えて平成 24 年度から当院とへき地医療機関が連携し、県内初となる「長州総合医・家庭医養成プログラム(プライマリ・ケア連合学会認定)」を設置しました。2 名の医師が 3 年間のプログラムを修了し、現在 5 名の医師がこのプログラムで「総合医・家庭医」を目指しています。

このように、医学部卒前から卒後を通じて、へき地をフィールドに次世代を育成する仕組みを構築し、引いては県内の地域医療の充実につながることを目指しています。