臨床研究センター

治験について

治験とは?

「治験」とは、国に新薬として認めてもらうために提出するデータを収集する人を対象とした臨床試験のことで、現在使用されている医薬品も全てこの治験の過程を経たものです。

新薬が生まれるには、新規物質の探索から15~20年かかると言われており、治験はこの間に行う臨床試験で、国が定めた法律(「医薬品の臨床試験の実施の基準(新GCP)」)に従って全国各地の医療機関で実施されています。

新しいくすりを開発する努力は、日本だけではなく世界中で行われており、こうした努力があるからこそ医療の進歩があります。今までのくすりより効きめの強いくすりを開発するだけではなく、副作用が少ないくすりを開発することも治験の大きな役目です。

治験のメリット・デメリット

治験の対象者は、ほとんどが実際の患者さんで、患者さんの理解と協力がなくては治験も実施できませんし、延いては新しいくすりも生まれることがありません。治験に参加して頂くメリットは、いち早く未来の治療薬を試してみることができることです。

従来のくすりの中には、まったく使えるくすりがない場合や効果はあっても満足のいくものではなかったり、副作用が強く出ることがあったりする場合には、治験に参加すると、このようなことが解消できることがあります。もちろん治験で使用する未来のくすり(〔治験薬〕という)や治験に関係する検査代金などは、その開発を行う製薬会社が負担しますので患者さんの負担が増えることはありません。

しかし、まだ本当に国が認めたくすりではありませんから、当初期待した効果や副作用の軽減が得られないこともあります。また、治験では、効果を正確に判定するために、プラセボ(良い訳ではありませんが「偽薬」)という、全く効果の無いものを同時期に別の患者さんに使用して頂き、効果を比較する手法をとることがよくありますので、そのプラセボにあたる可能性もあります。

治験中の安全性については、治験薬にあたる場合も、プラセボにあたる場合も両方細心の注意を払って副作用が出ていないかを観察していきます。

治験に参加するには?

当院においては、治験の募集をポスターの掲示や地方紙の広告などで行っていますが、基本的には、主治医から、治験の条件に当てはまりそうな患者さんに直接あるいは家族の方などに依頼することがあります。

治験に参加するかどうかは、患者さんご自身の自由意思で決めることができますので、たとえ主治医の薦めであっても断ることができますし断ったからといって、その後の治療を主治医がおろそかにするようなことはありません。逆に、患者さんが治験に参加して頂いた後に、治験の条件に当てはまらないことが判った場合には主治医の方から患者さんにお断りをすることもあります。

治験では、患者さんの権利(人権)や安全性が最大限に守られなければなりません。国も患者さんが不利な立場にならないよう法律(「医薬品の臨床試験の実施の基準(新GCP)」)を定めて、第二次世界大戦中に行われたような悲惨な人体実験が行われないように目を光らせています。

治験コーディネーターとは?

治験は、厳しい法律(「医薬品の臨床試験の実施の基準(新GCP)」)に沿って実施していく必要がありますので、多忙をきわめている医師だけでは治験を進めていくことができない状況となっています。

そこで、登場するのが「治験コーディネーター」で、治験を実施する側の医師や治験に参加する側の患者さんを支援する役目をた担っています。当院においては、薬剤師や看護師、臨床検査技師など、多くの職種の職員が治験コーディネーターとなり治験が安全に速やかに終了するよう支援しています。

今では、「治験コーディネーター無くして治験や臨床は成り立たない。」とか、「治験コーディネーター無くしてデータの信頼性を保つことはできない。」とまで言われるようになりました。

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治験実施可能診療科

(当院での実施が可能である治験について、各診療科医師が希望する治験薬の御案内)

診療科 実施可能項目
血液内科 白血病など血液疾患に対する抗悪性腫瘍剤、抗生剤
内分泌内科 インスリン、経口糖尿病剤
消化器科 炎症性腸疾患・慢性肝炎に対する治療薬、機能性胃腸症
循環器科 心不全・高血圧・虚血性心疾患・不整脈・高脂血症に対する治療薬
脳神経内科 脳梗塞・変性疾患・片頭痛・免疫性神経疾患など脳神経疾患に対する治療薬
神経科 抗うつ剤、抗精神剤
小児科 抗痙攣剤、抗てんかん剤、制吐剤、抗生物質、川崎病・アトピー・喘息などの治療薬
外科 抗悪性腫瘍剤、乳がん治療剤、閉塞性動脈硬化症の薬物療法、大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術
心臓外科 人工心肺機器
呼吸器外科 禁煙補助剤、肺癌に対する化学療法
整形外科 慢性関節リウマチ・変形性関節症・骨粗しょう症に対する治療薬、医療材料
形成外科 皮膚潰瘍・ケロイド・肥厚性瘢痕に対する治療薬、吸収性プレート
脳神経外科 脳・脊髄腫瘍など脳・脊髄・脊椎の外科的疾患治療薬、くも膜下出血・脳内出血・脳梗塞など脳血管系に対する治療薬、血管内治療(ステントなど)、神経移植
泌尿器科 泌尿器科全般に対する治療薬
産婦人科 抗悪性腫瘍剤、婦人科関連感染症治療剤、切迫早産治療剤、周産期医療
眼科 眼科全般、アレルギー点眼薬、緑内障点眼薬
耳鼻咽喉科・頭頸部外科 アレルギー鼻炎薬
放射線科 造影剤
歯科口腔外科 抗菌剤、消炎鎮痛剤、難治性口内炎薬、口腔保湿剤、味覚障害、経管栄養剤、抗癌剤、吸収性プレート、仮骨延長術
麻酔科 手術時使用麻酔剤、ICUで使用する薬、医療材料、医療機器

 

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治験の受入について

IRB開催日と提出書類の〆切日

IRB開催日

毎月第4水曜日

治験申込提出書類〆切日

IRB開催日の1か月前

治験受入実施手順

治験事務局による事前ヒアリング

治験申込 下記書類を治験事務局へ提出

治験依頼書(書式3)

治験分担医師・治験協力者リスト(書式2)

治験審査用資料(ファイル)

01.治験薬概要書

02.治験実施計画書(治験責任医師と治験依頼者が合意したもの)←合意書必要

03.症例報告書(治験責任医師と治験依頼者が合意したもの)

04.同意文書及びその他の説明文書(治験責任医師が治験依頼者の協力を得て作成したもの)

05.治験責任医師履歴書(書式1)

06.被験者の安全等に関わる報告書(ある場合)

07.被験者の健康被害に対する補償に関する資料(賠償責任保険加入証明書必要)

08.被験者への支払に関する資料

09.被験者の募集手順(広告等)に関する資料

10.予定される治験費用に関する資料(ポイント制)

11.その他治験審査委員会が必要と認める資料

治験薬概要書、治験概要書(前相の治験成績も含む)の概略<それぞれA3サイズ用紙1枚>

治験契約書(書式19・書式20)

IRBによる審査

院長から治験依頼者へ審査結果についての報告

契約の締結 下記について治験事務局、治験薬管理室へ提出

(1)治験薬等納品書および受領書

(2)治験薬管理表

(3)併用禁止薬一覧表(一般名)

(4)治験スケジュール表(受診日、治験薬投与日、検査日等が記入可能なもの)

(5)保険外併用療養量の対象となる同種同効薬一覧表

(6)治験薬管理手順書

(7)服薬日誌(服薬状況を患者が記入する)<必要時>

(8)治験参加カード(他院、他科受診用)

(9)治験実施計画の概要(ポケット版)

治験薬搬入

スタートアップミーティングの開催

事前に関係部門(検査部門、放射線部門等)に検査の手順等を説明しておく

治験の開始

治験依頼者のモニターは、随時あるいは定期的にモニターを行う

治験の契約や実施計画書等の変更がある場合、必要時その変更手続きを行う

継続手続き

治験期間が1年を超える場合は、1年に1回以上継続審査を受ける必要があります。

当院では毎年3月 IRB にて継続審査実施状況報告書の審議を行います。

終了手続き

治験費用の請求 (出来高払い)

各種様式集・統一書式

各種書式

統一書式を採用(2018.7.10~)

契約書

治験契約書 (Word,97KB)2者

治験契約書 (Word,97KB)3者

「透明性ガイドライン」に基づく情報公開に対する同意について

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標準業務手順書(SOP)

治験の実施に係る標準業務手順書(SOP)(PDF,533KB) 

治験審査委員会標準業務手順書(SOP)(PDF,370KB)

治験審査委員会をWeb会議等により開催する手順書(PDF,373KB)

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治験審査委員会

治験審査委員会委員名簿(R5.4.1)

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会議の記録の概要

治験審査委員会議事録の公開文書

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治験審査委員会開催日及び治験書類提出期限

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部門のご案内

治験事務局 兼:治験審査委員会事務局

事務局長

手嶋 ひさ子(薬剤部長)

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