中央放射線部
一般X線撮影検査
一般撮影検査とは通称「レントゲン検査」と呼ばれています。人体に照射した X 線は FPD(フラットパネルディテクタ)と呼ばれる検出器で読み取られ、X 線画像を生成しています。当院ではほとんどの撮影室において最新の FPD 導入しており、より低被ばくでの検査が可能となっています。

胸部撮影室

FPD:CALNEO Flow G77(FUJIFILM 社製)
レントゲン検査では整形外科の患者数が多く、全脊椎や下肢全長を撮影する検査も増加傾向にあります。当院では DR CALNEO GL(FUJIFILM 社製)を導入しており、より短時間・低線量の長尺撮影が可能となっています。

DR CALNEO GL

全脊椎

下肢全長
撮影室
1番撮影室…主に胸部撮影
2番撮影室…マンモグラフィ撮影
3番撮影室…胸腹部、骨盤部、四肢の撮影
4番撮影室…長尺撮影・頭部・パントモ撮影
5番撮影室…胸腹部、骨盤部、四肢の撮影
7番撮影室…救急撮影
ポータブル X 線撮影装置
当院では、病棟用、救急部、手術室、ICU、NICU と合計5台のポータブル X 線撮影機を有しています。またグリッドレス撮影を可能にした Virtual Grid 機能を搭載しており、ポータブルで低線量な撮影かつ高コントラストな画像を提供しています。

DR CALNEO AQRO(FUJIFILM社製)

Sirius Starmobile tiara(FUJIFILM社製)
マンモグラフィ検査

マンモグラフィ検査

マンモグラフィ装置
マンモグラフィとは乳房のX線撮影のことです。乳癌の初期症状である小さな石灰化を写し出せるのが大きな特徴です。触診では触れない小さな乳がんを写し出すことが出来ます。
検査は上半身の衣類を脱いでから、専用の検査着に着替えて行います。乳腺組織を見やすくするために、乳房を圧迫板で片方ずつ挟んで撮影します。標準撮影は、左右の乳房を上下方向と斜め横方向の4回で検査時間は 10 分程度です。
圧迫伸展して撮影することで乳腺組織や病変の重なりが減り、正しい診断を行いやすくします。痛みをともなう場合もありますが、X線被曝量を減らす効果もあります。痛みが強いときは加減しますので、遠慮なくおっしゃってください。生理が終わってから1週間くらいの間は、乳腺が柔らかいので、痛みが減る傾向があります。
以下に該当する方は、マンモグラフィ検査を受けることができない場合がありますので、必ずスタッフに申し出てください。
- 妊娠をしている方、妊娠の可能性がある方、断乳後半年以内の方
- 豊胸術をされている方
- ペースメーカー、VP シャント、ポートなど取り外しのできない人工物が胸部に入っている方
乳房トモシンセシスについて
トモシンセシス撮影とは、マンモグラフィの 3D 画像のことです。従来のマンモグラフィと同様に、乳房を挟んだ状態で複数の方向から撮影を行い、1mmスライスの細かい画像を作成します。通常のマンモグラフィに追加して撮影することで、乳腺の重なりによって発見しづらかった病変が見つけやすくなります。厚みのある乳房内の重なりを減らすことにより、乳腺の奥の病変の観察がしやすくなります。一回の圧迫時間は 10〜15 秒程度で、ぶれないように息を止めて撮影します。

2D撮影

トモシンセシス撮影
マンモトーム生検について
当院ではマンモトーム生検を行っています。マンモトーム生検とは、視診や触診、マンモグラフィやエコーでがんと疑う場合、がんとの判別が難しい場合に行う検査です。
乳房内にできた病変(疑わしきもの)の組織を一部取り、病理組織診断を行います。局所麻酔下で行われ、生検のための小さな傷(約4mm以下)が一つだけで縫合は不要です。また、傷跡は1~2ヶ月程度でほとんど目立たなくなります。
マンモトーム生検の方法
乳房をマンモグラフィで撮影し、位置決めをします。皮下と乳房に局所麻酔をします。これによりほとんど痛みを感じることはありません。病変をマンモグラフィで見ながら、乳房に針を刺入し組織を採取します。
10 分程度生検部位を押さえた後、傷口をテープで止めて完了です。縫合する必要はなく、4mm程の傷口は1~2ヶ月くらいで目立たなくなります。 当院では、位置決めにトモシンセシスを用いることにより、より正確で素早い検査を行えるようになりました。また、より快適に検査を行えるように、専用の特殊なベッドを用いて横向きに寝て検査を行なうことや、専用の椅子を用いても出来ます。

マンモトームリボルブ
:最新機種

ステレオガイド下/エコーガイド下に対応

1. 位置決め

2. 吸引

3. 切除

4. 組織の回収

5. 採取した組織(マンモグラフィ装置で撮影)
検診が大切です!!
マンモグラフィ検診は、現在行われている5つ(肺・胃・大腸・子宮頸部・乳房)の公衆検診の中でがん発見率が最も高い検査です。早期発見であれば、約90%の人が治癒します。欧米では、60〜80 %の女性が検診を受けていて、早期発見・早期治療により、乳がんによる死亡率は着実に減少しています。また、乳がんは体の上から触って見つけることのできる、数少ないがんのひとつです。早期発見のために月に一度、生理が始まって1週間後に、閉経後の人は毎月、日を決めてチェックしてみましょう。自己検診と並行して、40 才以上の方は、マンモグラフィを含めた検診を定期的に受けましょう。もし気になることがあったら、検診を待たず、早目に病院を受診しましょう。
当院は、日本乳がん健診精度管理中央機構のマンモグラフィ検診施設・画像認定を取得し、撮影は撮影技師認定を取得した女性技師が担当しています。何かご不明な点がありましたら、お気軽にお声がけください。
X線透視検査
X 線透視検査とは、主に単純の X 線撮影では診断できない部分に対し、造影剤を使用して透視下で確認しながら目的部位の撮影を行っていく検査です。また X 線透視は検査のみならず、様々な治療を目的として利用される事もあります。
施設紹介
当院では 2010 年より二台の FPD (フラットパネルディテクタ)搭載型 X 線透視装置が稼働しています。
FPD により歪みが少なく広い範囲が撮影できるようになり、高い画質の画像が撮影可能となりました。画質のみならず装置自体も改良され、床上高 50 cmまで検査ベッドを下げる事ができるのでご高齢の方、足が不自由な方でもスムーズに乗り降りができます。また装置のいたる所に対接触用センサーが搭載されているので検査自体も安全に行えます。
撮影された画像及び動画はデジタルデータなので専用の画像処理端末により、より詳しく有用なものに編集され読影に利用されます。

Cure Vista 日立メディコ製

Sonial Vision Safire 島津製作所製
実際の検査と治療について
検査

MDL (胃透視検査)

CF (注腸検査)

ERCP

子宮卵管造影
治療

神経根ブロック

シャント拡張術
正しく検査を行う為に前処置として絶飲食や下剤の服用など、その検査内容に沿った形で患者さんに協力をお願いすることがあります。検査前、もしくは検査予約時に担当者より詳しく説明がありますので、その指示に従うようお願いします。また検査後にも同様に指示があります、注意してください。
ご不明な点などがありましたら、担当者までお気軽に問い合わせください。
CT 検査(コンピューター断層撮影)
CT 検査とは X 線を回転させながら人体にあて、その情報を検出器で集めコンピューター処理をし、輪切りの写真や様々な方向の断層像を作り出す検査です。頭部、胸腹部、骨などを細かく検査することが出来ます。また脳血管、胸腹部大動脈、心臓・冠動脈などを三次元表示し、様々な角度から観察することもできます。
当院の CT は検出器が多列化した 64 列マルチスライス CT 2 台が稼動しています。従来の CT に比べ非常に高速な撮影が出来るため息止め時間が短く、全体の検査時間も短縮できます。
当院は 2022 年4月、機器更新に伴い新たに SIEMENS 社製 SOMATOM Drive を導入しました。2つの X 線発生装置を搭載しており、従来の CT に比べ非常に高速な撮影が出来るため息止め時間が短く、呼吸停止が難しい場合でも動きによるブレの少ない画像を撮像できます。また、新しい被曝低減技術により、さらなる被曝線量の低減を実現し、今までにない、様々な画像を作成できるようになりました。




MRI 検査(磁気共鳴画像)
MRI 検査とは
MRI (Magnetic Resonance Image:磁気共鳴画像)とは、強力な磁場と電波を使って、体の中の水や脂肪など(人体の約 60 %は水分)を画像化する検査です。さまざまな角度から体の断面を撮像することが出来ますが、磁場なので CT とは違い X 線を使用しないため放射線被ばくはありません。

撮像台に寝ていただきトンネル状の MRI 装置の中に入り検査していきます。検査中、工事現場の様な大きな音がしますので、耳栓をして撮像します。検査時間は 30 分前後です。
- 動きに非常に弱い検査ですので、検査中は動かない様ご協力お願いします。
- 検査室内に電化製品、金属、アクセサリーを身につけて入室する事は出来ません。
- 検査着に着替えて検査をしていきます。
- コンタクトレンズ、過度なメイク、髪やまつ毛のエクステなどは、場合によっては検査前に外していただく事があります。
下記に該当する方は、検査が出来ない場合がありますので事前にご相談ください。
- 心臓ペースメーカーや刺激電極など体内電子機器を身につけている方
- 体内に脳動脈クリップや人工関節などの金属が埋め込まれている方
- 以前に外科手術を受けた事のある方
- 妊娠中、もしくは妊娠の可能性のある方
- 閉所恐怖症など狭い所が苦手な方
当院では 2013 年に MRI 棟が完成し、新しく 3.0T MRI を導入し、従来の 1.5T MRI と合わせて2台で稼働しております。3.0T MRI では、ワイドボア化となり、撮像空間を広く確保することができ、従来のものより圧迫感が緩和されました。さらに、磁場強度(磁石の力)が2倍となったため、より高画質になり微細構造まで見えるようになりました。



この他、何かご不明な点などがございましたら、気兼ねなくお尋ね下さい。
血管造影検査
血管造影検査とは
直径2mm前後のカテーテルを動脈や静脈に入れていき、検査対象の血管まで進めて撮影する検査です。
血管そのものはエックス線には写らないため、造影剤(エックス線写真に写る特殊な薬剤)をカテーテル経由で血管に注入し、血管がエックス線写真に写るようにします。このため、血管造影検査と呼ばれます。
当院では、血管造影の手技を利用して種々の疾病を治療する「カテーテル治療」も行っています。
血管造影検査の主な対象
当院での血管造影検査における主な検査対象部位は、肝臓、脳血管、ならびに心臓周辺の血管です。その他にも、外傷などで血管が傷ついた疑いがある場合なども検査の対象となります。
心臓周辺の血管については専門医が行う「心臓カテーテル室」にて検査・治療が施されます。

カテーテル治療について
以下に、当院の血管造影検査室にて主に行われている治療の具体的な治療名称と概略をお知らせします。
以下の情報を患者さんがお知りになることで治療の成功率が上がる、といった類のものではありませんが、治療前の安心材料のひとつとして、また治療後の話の種として頭の片隅に留め置いていただければと思います。
血管塞栓術(Embolization(エンボリゼーション))
- 脳血管塞栓術 Coiling(コイリング)
肝動脈血管塞栓術
- TACE
肝臓がんに栄養を送っている血管を詰めるのみの(「肝臓がん自体を殺す薬」を混ぜない)場合には肝動脈塞栓療法(TAE:Transcatheter Arterial Embolization)と呼ばれます。
血管拡張術
- 頚動脈ステント留置術
詰まりそうな血管(主にコレステロールなどが原因)を内側から押し広げた後、ステントと呼ばれる筒を血管の内側から沿わせるように貼り付け、血管を補強します。
RI 検査(核医学)
核医学検査とは
放射線を出しているごく微量の放射性医薬品(ラジオアイソトープ)を用い、病気の診断や治療をする検査です。ラジオアイソトープで目印をつけた薬を体内に投与しますと、特定の臓器や組織に取り込まれそこで微量の放射線を出します。この放射線を信号として受け止め、コンピュータ処理し画像化する検査です。
SPECT/CT 検査
2023年4月より新しい SPECT/CT 装置を導入しました。
SPECT/CT 装置は SPECT 装置と CT 装置を一体化した装置であり、RI の機能・代謝画像と CT の解剖学的位置・形態情報を一括して観察できるようになります。このことで、RI 画像単独では判断が困難な生理的集積と異常集積の区別、異常集積がどこの部位に該当するのかなどについて、正確かつ迅速に判断ができるようになりました。
核医学では目的の部位、臓器により検査の方法が異なります。そのため検査にかかる時間、注射から検査までの待ち時間等も異なりますのでご注意ください。検査によっては前処置(絶食、食事制限など)が必要になる場合もあります。
SPECT/CT 装置写真

PET/CT 検査

2023年4月より新しい山口県で初となる半導体 PET/CT 装置を導入しました。
PET/CT とは、がん細胞が正常の細胞より多くのブドウ糖を取り込む性質を利用して、放射性医薬品 FDG を体内に投与したのち特殊なカメラで撮影する PET と臓器のかたちを画像化する CT を組み合わせた検査です。特に今回導入された半導体 PET/CT は従来の PET/CT の約2倍の感度を誇る最新鋭装置で、さらなる画質の向上及び検査時間の短縮・被ばく線量の減少を実現しています。
半導体 PET/CT の特徴
- 一度の撮影で、全身の検査ができる
- 画質が良い(従来 PET/CT の2倍)
- 検査時間が短い(撮影時間:約15分*受付〜終了までは約2時間*状況に応じて所要時間は異なる)
- 効率よくガンマ線を画像化できることにより使用する薬剤の量を減らすことができるため従来よりも被ばく線量が少ない
- 呼吸同期による撮像が可能なため、呼吸に影響を受けやすい肺や横隔膜直下などの病変も安静呼吸で検出可能
- 全身を複数回往復して画像データを収集する全身ダイナミック撮像が可能。動態画像を得ることができるので、薬剤集積の経時的な変化を把握することで、病変か臓器の生理的集積なのかを判断でき、診断が容易になります。また、検査が中断しても得られた各撮像データから全身撮像データを作成し、診断を行うことが可能です。